女神の微笑


子供ができると言うのがこんなに幸せな気分になるとは思わなかった。
そして、母に対して感謝の気持ちがふくれあがる。
あぁ。。。お母さんが生きていれば・・・。
いろいろもっと話せたのになと思う。

病室に見舞いにくるお母さんたちの姿が私の心をしめつける。
母を重ねてしまう。
昨夜は、つい大泣きをしてしまった。
病室でひっそりと泣いていた。
あまりに涙がこらえきれなくなって、病室の外に出てひっそりと泣いた。
そうるすと看護師さんが来てくれて、話をゆるやかに聞いてくれた。
話しているうちに心が落ち着いてきた。
私はひとりじゃないと安心し、眠りにつくことができた。

子供を身ごもると、母の気持ちがより理解できるような気がする。
もし、お腹の子供に障害があっても、お腹の子供を愛する気持ちは変わらない。
私の中にやってきてくれてありがとうと言う気持ちで一杯になる。
生まれてくることを考えたら背筋がぞくっとするくらい嬉しく涙があふれるときもある。
感動的に自分でひたっている。

NST検査をすると、お腹の子供の心音が聞こえる。
トクトクトク・・・。
幸せな気持ちに包まれる。
規則的な鼓動は、まるで子守唄のように私の心にこだまして眠りを誘う。
昔、母に抱かれていた鼓動に包まれたきもちになる。
病院に入院しての楽しみは、NSTと超音波検査かもしれない。
赤ちゃんの片鱗に触れる瞬間だからだ。

病室で彼を待っていると、時間がとても長く感じる。
恋人を待つ独身時代のような甘酸っぱい気持ちになる。
妊婦さんの旦那が病室にやってくると、病室はぱっと一瞬明るくなる。
妊婦さんが入院するというのは、赤ちゃんも一緒に入院しているのだ。
彼である旦那さんが、妊婦さんのエネルギー源であるみたいだ。
見舞いに来る彼も、彼女の顔を見て安心する。
カップルの姿を見ているとほほえましい気持ちに包まれる。
今も、前のベットと隣のベットから、ひそひそと楽しい声がこだまする。
私まで幸せのお裾分けをもらったような気がする。
母親が来るのとは違う、顔になる。女の顔と言うものか・・・な?
穏やかな横顔は、女神の微笑みのようだ。
子供を出産した後は、どんな微笑になるのだろう?
きっと、極上の女神の微笑みになるんだろうな・・・?

もし、女神がいるならきっとそんな微笑をしているんだろうな?

(2006.9.28)